月夜のクリスマス・イブ


人工のモミの木に飾り付けをしながら、ミリアリアは窓の外に目をやった。
今日はクリスマス・イブ。
残念ながら――雪は降っていない。

「これで粉雪でもちらついてくれれば、ロマンチックなんだけどなー」

ディアッカも、残念そうに呻いた。
しかし、ミリアリアは首を振る。

「そんなことないわよ」

手を止め、窓の傍に佇むディアッカの隣に立つ彼女の瞳は、いつもより輝いていた。

「だって、ほら……こんなにきれい」

藍色がかった闇の空、鎮座する金色の月。
隠す雲は存在せず、代わりにあるのは銀色の星々。

「ソリも走りやすそうだな」
「視界良好ね」

くすりと笑い、彼女はディアッカの肩に頭を預ける。

それはこの日、数多の家々で見られた、小さく、それでいて尊い、幸せな時間……


from〜月夜のクリスマス・イブ〜
結びに一言
12/24UP
時々的にクリスマスネタ。ちょっと微笑ましく。

*前次#
戻る0
-23/36-