気分はハロウィン2


「ほらよ」

ぶっきらぼうに、ディアッカはミリアリアにカボチャのお化けを手渡した。
ジャックランタン――昨日、彼女が製作中だったそれは、ディアッカのせいで壊れてしまい、おかげで彼が、一から作る羽目になったのだ。
出来上がりは上々……いや、かなり精巧に出来ている。

「すごいじゃない。これなら許してあげる」

彼女の表情に、ディアッカは眉をひそめた。

「……そんなに好きか?」
「もちろん! だって、年に一度のお祭りだもの」

溢れんばかりの笑みを見せるミリアリアを前に、ディアッカもまた破願した。
子供のように喜ぶ、その姿に。
仕方ないなぁ……そんな感情すら込めながら、ポケットに手を入れる。

「ところで、お菓子をもらう時、何て言うんだっけ?」
「“Trick or Treat”よ。そしたら――」
「“Happy Halloween”」

言い様、ディアッカはポケットから小さな包みを取り出し、彼女の手に乗せた。

「――で、良いんだよな?」
「良い、けど……どーしたの? これ」

包みを開き、彼女は唖然とした。
中に入っていたのは、何とカボチャのパイ。

「くり抜いた中身もったいねーから、適当に作った」
「……うそ」

明らかに自分が作るよりも美味しそうなパイ……まさかディアッカが、料理の出来る男だとは思わなかった。

ミリアリアは固く心に誓った。
いつか絶対、この男より料理上手になってやる――と。


from〜気分はハロウィン2〜
結びに一言
10/24UP
[気分はハロウィン]の、その後のお話。……長いなあ(苦笑)

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