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大将を討ち取ってしまえばあとはもうとんとん拍子にことがすすんだ。そもそも、もとからこちらが有利だったのだ。闇のような男と光のような男、どっちに統治してもらいたいかってそりゃあ後者に決まってる。誰だってそうする俺だってそうする。そんなこんなで、一見大変に見えた日の本統一ってのは案外あっさりと終わってしまったのだった。

「おおい、風切り羽ー・・・」

ま、別に俺の仕事が完全になくなったってわけじゃないんですけどね。不埒な輩ってのはいるんですよ、沸いてくるんですよ、生えてくるんです。カビのように。だからしばらくは俺の仕事もある。最もそろそろ、忍びとかなんだとかそういうのは無くなるかもしれない。そういう世の中になりつつある。俺が未来で生きて、退屈で死ぬと思ってた世の中がやってくる。もちろんそれが悪いとは思っていないけど、へへ・・・つまらねぇな。萎えっぱなし。

でも別に後悔はしてない。好きなものをたべて、好きなことをして、好きなように生きる。もうそうすることに決めた。いや、前も好きなように生きてはいたんだけど、なんかずっとよくわからなくて、結局理由を探してた、だからそう決めたんです。別に殺しはやめませんけど。いや、それは俺の呼吸というかなんというかなので・・・。

「・・・・・」

屋根の上から立ちあがる。下で官兵衛さんとじいちゃんが俺に向かって手を振ってる。嬉しい光景だ、幸せな光景だ。この選択肢を選べてよかったと思う。

懐に入った使えないクナイがすこし重い。二人の元へ向かいながら俺は笑った。畜生のようでもなく、前の俺のようでもなく、今の俺だけの笑い方で笑った。

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