サヨナラ20


まぁ、過ぎたことはしょうがない。というわけでヒトカゲを回復したあと、俺はすぐにおつきみ山へと向かった。身をもってタケシに教えてもらったことを考えつつ、道すがらちらほら見かけるトレーナー達と戦っていった・・・・のはいいんだけど、やっぱりあれだなと思った。ジムリーダーはトレーナーとして別格だ。特定タイプのポケモンのエキスパートだけあって、あの人たちは素晴らしい独自のセンスを持っている。

「マダツボミ!はっぱカッターだ!」
「リザード!ひのこで焼きはらえ!」

そのまま後ろに回り込んでひっかく!と名も知らぬボーイスカウトのマダツボミと戦っているリザードに指示を出す。進化したことにより前よりすばやさとこうげき、とくこうも上がっているリザードは俺の指示を聞いてそれを素早く実行に移した。いくつも吐かれた火の粉が、マダツボミが飛ばした鋭利な葉を焼き尽くす。

「ま、負けた・・・」
「よし、お疲れさん、リザード」

鋭い爪の一撃をくらって倒れたマダツボミをボールに戻しながら、ボーイスカウトが悔しそうな顔をする。あんた強いな、とかけられた言葉に礼を言いながら、賞金の受け取りを済ませた。

「なぁなぁ、バッジ何個もってる?」
「まだ1個目」
「・・・それで1個目かよ・・・俺一応2個持ってるのになぁ」
「でもよ、ポケモン勝負ってのは半分は運だぜ」

次戦うことがあったらお前が勝つかもな、と言うとボーイスカウトはにやりと笑って手を差し出してきた。それに応じて握手をする。

「それじゃ、縁があったら」
「おう!・・・・なぁ、ポケギア、交換しとかねぇ?俺またお前と戦ってみたいな」
「・・・ああ、いいぜ」

やったー、と無邪気に喜ぶボーイスカウトとポケギアの番号交換を済ませ、今度こそ別れる。少し遠くに見える赤い屋根はポケモンセンター。3番道路はようやく終点、おつきみ山はもう目の前だ。

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