サヨナラ21
ポケモンセンターについてまず行うことはポケモンの回復だ。明日か明後日には山を越えてハナダに行くのだから、少しの怪我だって油断ならない。俺の手持ちは地面と岩に弱いからなぁ。やり方はいろいろあるけど、でもやっぱ手持ちは少しでも傷つけたくないじゃん。
「なぁ、兄ちゃん」
「ん?」
「おじさん。めずらしいポケモン捕まえたんだけどさ、どう?500円で売ってやるよ」
ワンコインかよ。誰が騙されるんだろうこんな明らかに変なおっさんに。
にやにや笑ってるおっさんの手は腰のモンスターボールに伸びている。たぶん脅すつもりなんだろうな。ざんねんだけど俺には通用しない。だって強いもん。
「・・・・へ、」
「言っとくけど、俺脅そうとしても無駄だから」
こういうのは先手必勝が肝心だ。先にボールからリザードを出しておけば問題ない。鋭い爪をちらつかせたリザードを見て男は顔をひきつらせた。コイキングが入ったボールをひっつかんで逃げていった後姿は追わない。どうでもいいし・・・・。
「いくか」
サンキュな、とリザードの頭を撫でてボールに戻す。ポケモンセンターの中はどこも変わらない。宿泊の手続きとそれからポケモンたちを預けて明後日まで自分の部屋となる場所に行く。幸いなことに一人部屋がとれた。ここら辺に来るトレーナーはあんまりいないんだろう。なんか最近はロケット団がいろいろなところで活動してるって言うしな。
「あ、あれもロケット団か?」
コイキング売りのおっさんも確かそうだったような・・・気がする。もう昔のことだから忘れてしまった。しかし本当にヤクザみたいな商売しかしてないんだな。タマムシではスロットだったか。あそこでポリゴンをゲットするのも、一部の手ではある。くぁ、とあくびをしてベッドに寝っ転がる。なんだかんだで強行軍だったから疲れていたのだ。きっとリザードとポッポも疲れているだろう。明日は一日休みだな、と思いながら心地よい睡魔に引き込まれていく。
「・・・・あらーむ、かけなきゃ・・・」
二匹の回復が終わるだろう時間にアラームをセットしておく、これで安心だ。そう思ったとたんに睡魔が強くなって、俺は眠りへと引き込まれて行った。
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