後日譚3


知能が高いとは言え、結局こいつは動物のようなものである。なので服を持って来い、とは言ったが、それをおとなしく着るとは思っていなかった。

「喜んでいるな」
「そうだねぇ」

だがその意に反してぽちは素直に服を着た。というか喜んで着た。余程気に入ったのか今も服の裾を握り、俺の膝上に座りながら機嫌よく鳴いている。その部分だけを見ればただの童女だ。先ほどの惨事を知っていなければの話だが。

皺になるぞ、と裾を握りしめている手を開いてやっていると佐助がこんなことを言った。

「んで、どうするの?」
「うん?」
「ぽちをどう使うのかって話だよ」
「ああ……」

どうしようか、とぽちと顔を見合わせる。流石にこの話は理解していないのだろう。きょとんとした顔が面白くてふくふくした頬をつつくと、こそばゆかったのだろう。ぽちはくすくすと笑い声を上げた。

「そうだな……先ほどの惨状、お前も見ただろう」
「えぐかったねぇ」
「影のものとして使うだけの能力はあるはずだ」
「……じゃあ」
「うむ」

頼んだぞ、とぽちを抱き上げて佐助に渡す。はいと返事をしてぐんにゃりとしたぽちの体を持ち上げた佐助がなんだこれ、と声をあげた。

「肋がないのだ」
「あー、だからさっき腹触らせてたわけ」
「ああ」
「面白い生き物だね。足りなくても平気なんだ」

でも後で作らせておきます。と俺にそう言い、佐助はぽちを抱えて消えた。それを見送って腕を組む。あいつは佐助の下でどう変化するのだろうか。

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