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やはり、というかなんというか、婆娑羅持ちであることがわかった途端に私の待遇は手のひらを返したかのように変わった。思わず子供らしからぬため息をつきそうになるぐらいには。

まずはあれだ、薙刀の稽古が増えた。次に今まで適当にやっていた様々な稽古ー例えば生花や琴などーが厳しくなった。あとは父親がよく私に会いに来る。前は殆ど顔なんて見せなかったのに、正直な事だ。

「…………」

でもそうなってしまうのもしょうがないのだと思う。十歳の子供が重い鉄の武器を持っても、難なく振り回せる力。風で重さも軽減できるというのもあるかもしれないけれど、これは脅威以外の何物でもないのだから。

ぶんぶんと薙刀を振りながらこの先のことを考える。出来れば嫁ぎたくない。どうせなら戦の道具がいい。前もそうだったから、それなら結構慣れているし実績がある。でも、毛利元就のようにはしないほうがいいんだろうなぁ。

そんなことを思いながら、頭上でくるくると薙刀を高速で回転させる。武器に風を付与してやると、こんなことも出来るのだ。イメージは新体操。得物の物騒さが違うけどね。

高速で回り続ける薙刀から手を離すと、それはゆっくりと上にあがっていった。まるでタケコプターのようだと思いながらそれを見ていると、薙刀はとうとう天井までたどり着き、ばきばきと天井板を壊し始めた。ぱらぱらと細かい木の欠片が降ってくる。

「あっ……」

どうやらあれにも攻撃力が付いているらしい。慌てて風の婆娑羅を解除させると薙刀は天井を破壊するのをやめてゆっくりと下に落ちてきた。受け止めて、まじまじと手の中の得物を見つめる。

「……………」

もし、武器をあんなふうに使うとしたら、逆刃の薙刀が一番いいのかなぁとぼんやりそんなことを考えた。


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