けんこうな佐助


ここはどこなのだろう。先なのか未来なのかそれとも過去なのか。でも、同じだ。まえのまえのせかいと。似ている?それとも同じ?


「あう」


あ、今回は男になれた。おとこ!慣れ親しんだ……、そう、前の前に慣れ親しんだものが股間にぶら下がっている。でも顔は前とおなじだ。名前も一緒だ。おれは佐助。あれ、あれれ?そういえばあの人は?

「あのひとは?」
「え?」
「あの人がいない」
「さっくん?それってなんの事?」

確かに手を繋いで死んだのに。一緒に死んだのに。いないいないいない!きっと途中で手をはなしちゃったんだ!俺、あ、俺、一人なんだ……。

突然びぃびぃ泣きだした俺を、今世の母親が抱き上げる。精神は前の俺でも、子供の体は感情に引っ張られて暫く泣き続けた。どっちにせよひどく悲しくて寂しくて、涙は暫く止まらなかった。

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