こころなしかさなだて


だてさな?さなだて?以前も書いたかもですが時系列はバラバラです。



佐助以外とはしたくない。でも佐助は女になりたくない。だからといって自慰は微妙。でも夢で暴発したらそれはそれではずかしいから、一応まぁまぁの頻度で抜いている。

しかし、溜まるものは溜まる。それを親方様との殴り合いや運動、戦などでガス抜きする。それでも、どうしても澱のような何かが、心と体に沈殿するのだ。

「むぅ……」

あれだろうか、人肌の温度が足りないのだろうか。と思って態々任務帰りの佐助を狙って事に及んだのはいいものの、どうにもすっきりしない。いや、すっきりしたところはしたのだけど。

一足先に意識を落とした佐助の無防備な寝顔を全裸で眺めながら、はて、と首を傾げた私の疑問が解決したのは、親方様と上杉殿の戦。川中島にて奥州の伊達政宗が乱入してきた時だった。

「………アンタ、中々やるな」
「貴殿こそ」

六爪と二槍、睨み合って対峙する。今のところ実力は互角、いや、少々相手が優っているだろうか。久しく負うことのなかった傷の痛みに眉をひそめながら、相手の隙を伺う。

雷のバサラは厄介だ、一度受ければ体が痺れる。

だが私の炎だって、そう甘いものじゃない。なんせバサラで作られたのだ。私の意志一つで容易く防具へ燃え移り、鉄を熱し肉を焼く。

だから独眼竜も中々こちらへかかってこない。じりじりと、獲物を狙う猫のように隙を狙う。見つけたら直ぐ様その頚筋に、食らいつけるように。

「く、くく」
「ふふ、ふ」

一触即発の有り様なのに、不思議と喉奥からは笑い声が漏れてきた。それは相手も同じようで、私よりいくらか低い笑い声が、風に乗ってかすかに聞こえた。その声に煽られるように二槍が一際強く燃え始める。相手の刀も、また同様。

「なぁアンタ、名前は?」
「真田源次郎幸村、と」
「そうか、俺は伊達政宗だ」

ぎらぎらと光を放つ左目。彼は同じような歳頃だろうか。武器を打ち合わせるたびに淀んだ澱が溶けていくのがわかる。脇腹を抉った刀傷はまるで龍の爪痕で、心臓がどくどくとせわしなく脈を打っている。

滾る。

乾いた唇を舐め、ごくりと息を呑んで、それから肺の内に溜まった熱を吐き出す。ああ、なるほど、私はこんな存在が欲しかったわけか。

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