おれ、犬20
わんわん!おれ、いぬ!いぬだから吠えることもできるぜすごいだろ!遠吠えだってできるんだぜ!
「………わふ」
さてさて、そんなことはおいといて。きょうは、そろそろじいちゃんと小太郎とお別れしようかなとおもっている。だっておれはいぬ、のらいぬのいぬなのだ。じゅうしょふていむしょくなのだっ!じゅうしょふていむしょくにだって、プライドがあるのだ!あっでもご飯はただでほしい。
夜中ってのは、抜けだすのにとってもいい時間。だってみんなねてるもの。
そっとおれのためにつくられた小屋からぬけだして、おれは城のじょうかまちをたったか走る。そんで、あともーちょっとでそとって時に、
「………………」
「んにゃっ!?」
なんとうえから小太郎が降ってきたのだ!思わずねこみたいなこえだしちゃったぜ!おれはいぬなのに!
腕をくみながら俺をみおろした小太郎はこてりと首をかしげた。きっと出ていくのか?って聞いてるんだ、多分。だから俺はそれに頷いた。おれはもともとのらいぬなのだ。あ、でも見つかっちゃったから連れ戻されちゃうかな。
「……………、」
でも小太郎はそんなことしなかった。頷いたおれをみて、小太郎は腕をくむのをやめて俺の目線までそのでっかいからだをかがめた。両手でほっぺを包まれたとおもったら小太郎のかおが近づいてきた。ちょっとほっぺをこねこねされて、鼻と鼻とがこつんとぶつかる。
「……………」
「きゅうん………」
またね、の挨拶をされて不覚にももう少しだけここにいたいな、とか思ってしまった。のどおくから勝手にくんくん出てしまった声を誤魔化すように小太郎のほっぺを舐める。小太郎はあんまり味がしない。匂いもしない。不思議な奴。
「わう!」
「……………」
なんとか未練をふりきって、俺は小太郎とさよならして走り出した。おれは一度いたとこには基本戻らない主義だけど、ここにはまたこようかな。梵天丸のところにも行く予定だし。
「あおーん!!」
またくるからねー!とおっきなこえで鳴いて、おれは走る足に風の力をこめた。えっと、びゅーんと、かっこよくふるすろっとるなのだ!ちなみに意味はよくわかってないので、きょうはここでおしまいです。
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