ゆきさえろ??


何をどうしたって、佐助は訓練のために里へ戻るしかない。嫌がる彼に無理矢理、それがいつかどうかを聞き出して、2、3日考えた。戻るのが来週ならば、十分間に合うか。

「佐助」
「……何?」
「ちょっと、下に降りてきて」

もう誰もが寝静まっただろうと思われる夜更けに、そっと佐助を呼ぶ。いつどこで寝ているのかは知らないが、呼べばこうして来てくれるので忍びというものはすごいとおもう。それが例え望まず身につけたものとは言えど、称賛せずにはいられない技だ。

「………何かあった?」
「あのね、佐助。私たくさん考えたの」
「え?何を」
「どうしたら佐助の負担が少なくなるかなって」
「………なんの話?」

意味がわからず眉根に皺をよせた佐助に微笑んで、私は手を繋ごうと言った。少々訝しみながらもおずおずと近くに寄ってきて、私の手を握る彼。えっと、元の中身は何歳だったっけ、18かそこらだっけ。まぁ初心じゃないと思うし、平気だろう。

私とはまた別の、傷だらけの手をゆっくりとなぞる。槍や刀を使う者の手ではないから、色んな所に傷がある。武士には使えぬ獲物を使う、忍びの手だ。それを、逃げられないように絡めて、きゅうと握り締める。どことなく不穏な空気を察したのか、みじろぐ彼が離してくれと言う前に。

「ね、佐助」
「……なに」
「佐助は、あっちで他人と初めてするのと、今ここで私と初めてするの、どっちがいい?」

え、と思わず漏れたといったような感じの声を出した彼に、静かにと命令して私はそっと彼の方に重心を傾けていく。忍びの体は柔らかい。固まったまま、ぽすりと布団に倒れこんだ彼の耳元で、手をつないだまま、どっちがいい?ともう一度囁くと小さな悲鳴が聞こえた。

「な、な……、」
「私じゃ嫌?他の人とのほうがいい?」

責めすぎたか、と少し身を起こして悲しそうな表情を作る。絡めたままの指にすこし力を込めて縋るような仕草をしてみせれば彼はぶんぶんと首を振って違う!と小さな声で叫んだ。

「他のやつとなんて嫌だ!でも、……あんた女には、勃たない、」
「男にも勃たないよ、でも佐助とならできるよ。やだ?」
「や、じゃない……」
「よかった」

ほっとしたように微笑んで見せて、絡めた指を外す。きっと彼は同性にだかれることが嫌なんだろうから、私の男としての性欲を感じさせないようにゆっくり、時間をかけて労りながらそのまっさらな体を暴く。顔を真っ赤にして、未知の快感に困惑して泣いて、しゃくり声を上げながらも私に縋るのがとても可愛らしかった。

「あ、ぁあ、あっ、」
「さすけ、大丈夫?痛くない?」
「やだ、そこ、あっ!まって、」
「平気みたいね」

胸を吸ったり名前を呼んだりするだけできゅうきゅうしまる狭いあそこも、りんごみたいに真っ赤なほっぺも、涙でぐしゃぐしゃになってる顔も全部可愛い。これを誰かに見せるなんてもったいない。嫌だな。
一定のリズムで体を揺さぶりながら、里でこの子はどこまで何をされるのだろうか、とふと思ってどうしようもなく嫌な気持ちになった。これは私の佐助、きっとこの世で唯一の同胞。せっかく近くにいるのに、私の知らないこの子の一面が、他の人に?

「………ね、佐助」
「ひぁ、ぅ、う、」
「来週、佐助が里に帰るまでに、佐助の初めてを全部私に頂戴ね」

一際強い締め付けに射精感をなんとかやり過ごし、お尻もお口も何もかも全部頂戴、と飛んで何もかもわからなくなっているだろう彼の耳に囁く。少ししてから舌っ足らずにあい、と返事が帰ってきたのに満足して、私はそっと汗にしっとりとぬれた彼の頬を撫でた。


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