私はこじゅさと、さなだてがすきです


お前、これを持っていけとりゅうのみぎめが言うもんだからありがたくそれー風呂敷に包まれた野菜ーを受け取って頭を下げる。以前一度だけ食べたことがあるが、彼が作る野菜はとても美味しいのだ。

「いいの?ありがとね」
「まぁな、政宗様の憂さ晴らしに付きあわせている礼だ」
「ああ……」

今現在、主とその好敵手は厨に篭って料理の真っ最中だ。なんでも伊達政宗は料理が趣味ということで、どこから聞いたのかうちの主がたいそう料理がうまいという事を聞いたらしく、奥州についたとたん掻っ攫われてしまった。こうして右目が言うには、少々片手を痛めてしまい稽古も何もできずイライラしてたとの事。自業自得といえばそうなんだけど、まぁ19歳からしたら好敵手とバトれないのは鬱憤が貯まるものなのだろう。

「別にきにしないでよ。あの人料理は嫌いじゃないし」
「何?ほんとうに真田は料理が上手いのか?」
「うん、あの人が作る団子は特に美味しいよ」

もちもちしてて、餡が甘くて香ばしくってとろりととろけるんだよ、と俺が言うのに竜の右目はますます驚いた顔をする。お前が作るのなら納得できるが、と難しい顔をして呟くのに俺ができるわけ無いじゃんとケラケラ笑えばなんだか変な顔をされた。

「戦忍がそんな、女だからって料理なんて作れるわけ無いでしょうよ」
「あ、」
「他の事なら出来ますけどね、でも」

小十郎さんが食べてみたいなら作ってやってもいい、と茶化して言うとなら食ってみてえなと言われたので思わずえ、と声をあげると奴はにやにや笑っていたのであ、仕返しされたなと思って俺はちょっと悔しくなった。


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