佐助サイド


ねたちょから引っ張ってきたやつ。タイトルは私がその時つけた本文です。男→女と女→男のTS真田主従物語






股の間にぶら下がる性器はどこに消えた。日に日に膨らむ胸も、柔らかい体も手足も、何もかもが自分のものではないような気がして部屋の隅で一人、耳を塞いでうずくまる。自分の、性の異なる体が嫌だった。

「さすけ」
「……………」
「あなた、また泣いてるの」

泣いてなんかいない、と声に出したはずの言葉は嗚咽に邪魔をされてよくわからない音になった。この人はどうして自分が隠れている場所がわかったのだろう。だれにもばれないように、こっそり隠れたのに。

「さすけ、泣かないでよ」
「………ないて、ない」
「下手な嘘だね」

泣くなら一緒になこうよ、とだんだん子供特有の柔らかさをなくして男らしく硬くなってきた手のひらが涙に濡れた頬を撫ぜる。最近槍の稽古を始めたものだから、手のひらの肉刺がちくちくと頬を刺激した。

「いたい」
「あ、ごめん」
「……うん」
「ね、さすけ、一人で泣かないでよ」

私も泣きたいんだよ、とひしゃげた顔で笑う幼い主の頬をびよんと伸ばす。いひゃい!と小さく叫ぶ彼のみみにそっとある言葉を落とし込めばその大きな目が驚いたようにますます大きく見開かれて、

「………お赤飯炊こうか?」
「それやったら、あんたが精通迎えた時も赤飯炊いてやるからな」
「女の子がそんな悪い言葉を使っちゃだめだよ」
「………あんただって、男のくせに、そんな」
「うん」

神様は意地悪だね、と彼がじくじく鈍い痛みを訴える下腹部に温かい手をあてる。私の手はあたたかいから、こうすれば少しはましになるよと頬笑んだ子供を、抱きしめて肩を涙で濡らしても優しいこの人は何一つ文句を漏らさなかった。


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