おれ、犬17


いよう!おれ、いぬ!さっきのおじさんはほんとに怖かった!おれたべられちゃうんじゃないかとおもった!にくたいてきではなく、せいしんてきに。

「わふ………」

さて、ここはどこだろう。
体が変に発光するぐらいに本気出したおれはたぶん、すっごいたくさん走ったんだと思う。なんか大柄な人をはね飛ばしたような気もするし、深い霧を抜けたような気がする。そうしてふとあたりを見たら雪がなくなってた。だから多分、げんじろうとか、そのあたりのひとがいるところまで来たんだと思う。たぶんね。

「がう?」
「わふ?」

おなかがすいたなぁと鼻を鳴らしてかわべでねそべったおれのほほをだれかがざらざらなめた…。だれだろ?とゆっくりめをあけると、あっ、………白いとら……………。

『……………』
『……………』

おれ、まるかじり?と首を傾げたおれにとらさんがぶんぶん首を振ってそれからおれのくびねっこをがぷりとくわえた。

「お!いぬ!いぬだな!」
「わふっ?」

子供のように運ばれてった先にはたくさんの虎を従えた男の人がいました!わしゃわしゃわしゃーってされたよ!ごはんももらった!この人の手は冷たくて、ちょっとさっきのおじいさんと同じ匂いがしたけど、いいやつ!やれやれ、お腹も一杯になったので今日はここでおしまい。

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