おれ、犬16


やぁ。おれ、いぬ!はしってはしってたどり着いた先はなんかちょっと怖いとこだった。あれ?おかしいな道を間違えちゃったかな。

「・・・・・・・ホウ、ホウ」
「わふっ!?」

くんくん、なんだかここらはいやなにおいがする。
鼻を侵すそのなんともいえないにおいに顔をしかめていたら、いつのまにか人が後ろに!めちゃくちゃおどろいて飛び上がった俺を、顔を半分ぬのでかくしてるおじいさんがじろじろ見る。あ、この人からだ。ひときわ強い、死と、土のにおい。

「お主、何故犬の姿をしている」
「・・・・・わう?」
「同化か?いや・・・」

転生か、と驚いた顔をしておじいさんが俺に手を伸ばしてくる、のを俺は避けた。なんだこのひと。軍神ほどじゃないけど、ほらだってあの人はほとけさまだから。だから軍神ほどじゃないけど、この人は怖い。へたすると俺がなくなる?犬じゃない俺が取られちゃう。

「わうん!!」

逃げる俺を、おじいさんは追ってこなかった。すっごい怖かった。久しぶりにあのにおいをかいだ。

ふるりと震えて俺は雪道を走る。ううっ、小十郎さんにいやされたいです!出てきた手前それはしないけど!!なんだか心にダメージをうけたので今日はここでおしまい。

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