おれ、犬15
はぁい!ごはんはだいたいまるのみしちゃうほう、いぬです!消化に悪いけど、いぬのいぶくろは強靭なのだ!
さて、そろそろ青葉城にすむのも飽きがきた。おれはいぬ、のらいぬなのだ。だから自由にいきるのだ。でも小十郎さんがなぁ〜、小十郎さんだけ持っていきたいなぁ〜。
「わふっ」
「・・・・・・・なが、つき?」
小十郎さんたちにそっとさよならをして、それから最後の最後に一人でねむってたぼんてんまるにあいさつにいく。よるのぼんてんまるは眼帯をはずしている。おれはいつもはずしてたほうがいいとおもうけどなぁー。まぁコンプレックスってのはどうにもならないからしょうがないのだけど。
まだ右目にのこる傷をなめるとぼんてんまるはぱちりと目を開けた。いくのか、と小さな声でつぶやいたのにうなずいて、おれはおとなしく抱きしめられた。ぼんてんまるはねこっ毛なので、髪の毛にうもれた鼻がこしょこしょくすぐったい。
「また戻ってこい、長月」
「・・・・・・わん」
「・・・・・・・・戻って来いってば」
「わん」
べろべろと顔をなめるとぼんてんまるは少し笑った。今日は満月だから、ぼんてんまるのかおがよく見える。男前だね、と意味を込めてもう一声鳴いて、俺はするりと彼の腕から抜け出した。
「またな」
気が向いたら、またな、ぼんてんまる!俺はかっこつけて空中を走って青葉城をでた。ああ、まんまるいお月様をみるとなんだか吠えたくなるな。
「あおーん!」
おれは走る!走るぜ!だから今日はここでおしまい。
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