おれ、犬11


「長月!」
「んにゅっ?!」

あ、変な声出た。
一番最初のあだ名を後ろから呼ばれて、おれはめちゃくちゃびっくりした。こっ、こ、この声は!

「なんでお前がこんなところにいる!?」
「わふーーん!!!」

わはーーー!!!こじゅうろおさんだぁっ!!!!うほーーっ!!!
あっいけない。犬の部分がでてきちゃった。くそ、でもふりふり振られる尻尾はとめられないっ、くやしいっ。犬のからだは正直なの!嘘……つけるけど……でも基本的に正直なの!

「わふっ!わふっ!」
「お、おう。ちょっとまて、こら、」
「わひゃっ!」

撫でて撫でてーだっこしてだっこー!………あっあっ。やってしまった。
ここが一応戦場だってこともわすれて、ついつい小十郎さんにまとわりついてしまった……俺失敗。

しょぼん、とした俺に、農民たちを峰打ちしながら小十郎さんが優しい声をかける。

「待て、だ。長月」
「…………」

はひーーーん!!!

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