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町につくすこし前に、私と慶次は松風から降りた。ここからはあるいていくそうだ。

「松風は?」
「あいつはだいたい縛られるのを嫌がるから、ここで一旦お別れだよ」
「そっか、気まぐれなんだっけ」

またね、と静かに草を食む松風にてをふる。小さな嘶きが帰ってきた。慶次は夢吉を私の肩に乗せて、私は慶次のてを握り直して、また歩き出す。

「大丈夫かい?」
「…………うん」
「本当にだめだったら、ここらを散歩して帰ればいいさ」
「うん、でも多分大丈夫だ。きっと、」

ほかの人間はまだ怖い、でも慶次は平気だった。と流石にそれは面と向かって言うのは恥ずかしかったので頭のなかで考える。でも戦があった場所だってするっと乗り越えられた、だから多分平気だ。きっと町は、私が想像していたよりもずっとずっと平和でいいとこなんだろう。


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