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「いいかはなすなよぜったいだぞぜったいだぞぜったいはなさないでね、こわい」
「う、うん……」

山のなか。慶次のてをしっかり握って下へと降りる。きっと夢吉が肩にのってくれてなかったら、慶次がてを握っていてくれなかったら私は恥も外聞もなにもかもすててわんわん泣いていただろう。てかいまも泣きそう。

「うっうっ、したこわいしたこわい」
「あ、あのさ。あんだけいっておいてなんだけど、嫌だったら戻ろう?調味料は俺が小屋まで持ってくるよ」
「ううん、がんばる」

この機会をのがしたらずっと降りれない気がする。と目から汁を溢しながら訴える。慶次はそうだね、といって私の背中をなだめるように叩いてくれた。

「勇気をくれ、夢吉」
「そこは俺じゃないの?」
「私はこまったときかわいいものに頼るんだ」

慶次は「かわいい」じゃないだろ、と鼻を啜りながら言えば彼は妙な顔をして確かにかわいいっていわれても微妙な気持ちだしね、と呟いた。

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