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ぶお〜、ぶおぉ〜、と辺りに鳴り響く重低音を、聞きたくなくて耳をふさぐ。私はあれが何だか知っている。あれは法螺貝だ。元高校生はそれぐらいしっているのだ。なぜなら友人が歴史オタクだったから。

「あっちで、あっちでやってくれ」

また人がたくさん死んでいるのか。法螺貝が聞こえるこのやまのしたで。私は聞きたくなかった。みみせんがほしくて仕方が無かった。私は平和を愛している、ぬるま湯のような平和。色んなものが消えてなくなってしまうのに、なんでえらい人は戦争をするのか?えらい人だから分からないのか?

馬鹿野郎と呟いて、私は布団にもぐりこむ。猿は来ない。いつもなら私が暇な時とか寂しい時とか、いい感じのタイミングでここにやってくるのに今日は来ない。寂しい。

「戦は馬鹿がやることだ、そのせいで猿がこない」

寂しいな〜と大きな独り言をいって、私は目を閉じる。目を閉じるたびにおもうことは夢から覚めたら21世紀にもどってないかな〜ってことだ。もう何年もここでくらして、私は諦めたけれど、そう願をかけることは止めていない。願えばいつか叶うよ、と言ったのはだれだったかな。まぁ私の友達じゃないことは確かだ。そんな軟弱なことをいうやつは知り合いに居ないのだ。

「じゃあだれだったんだろう・・・・」

とろりと目蓋がおちてくる。法螺貝の音はもうはるか彼方。21世紀のことを私はどんどん忘れてしまっているので、あれもこれも、記憶の齟齬だって仕方がないのだ。

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