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女子高校生は女子高校生なりに知恵を持っている。なんとかして保存食を作り、野菜を収穫し、味気のない食事を作り出すぐらいには知恵がある。くそーー醤油がほしいーー。
「……………でもなぁ」
人には会いたくないのだ。怖いから。やまのしたにすんでるのは昔の日本人なんだろうけど、わたしにとっては外国人と同じなのだ。戦なんてしやがって、日本人は平和主義じゃないのか。
はぅ、と溜め息をついて床にねっころがる。きき、と小さな声がした。少し大きくなった猿が戸口から小さく顔を出している。動物のくせに人のような行動しやがって。何故猿と人間の遺伝子はちょっぴりちがってしまったのか。
「………ちょっと」
こっちにきてよと手招きをすると、猿はおずおずとこちらに近寄ってきた。そういえばこうして呼ぶのははじめてかもしれない。体を動かせばふれ合えるぐらい近く。床についている猿のてにちょっと触れる。やけに冷たいその手に私は少し驚いた。まるで金属のようだ。
「あっはっは」
んなわけあるか、
ばんばんと床をたたく私に猿はすこし怯えたように身を引いた。でも繋がったてとてはそのままだったので私はこいつは優しい動物だなぁと思った。
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