15


宙返りをして魚になり、ふわふわとしばし辺りを漂よう。1155の逡巡のうちに諦めて天の川を渡る電波に身を任せたとき、肩にかかる重みがふときえた。それはあのタオルのようであったり、あの爪先であったり、あの甘い匙であったりした。こつこつと盲者のように杖をつく私の前にふわりと落ちてきたのはまぁぶる模様に渦巻く羽で、きっと八戸の頂きが完成したのだろうと私は上に渦巻く茜色の渦を見上げた。

そうして自由の扉を開く前に、魔王の前に陣取る剣を持った勇者と対峙して。そこでようやくしあわせな未来を認めて私はひっそりと最後の息を肺の奥から吐いた。ここから彼女に届くのかしらと最後の残り香に祈りを混ぜてみたけれど、きっとそれは電波と砂嵐の渦に混ざって消えてしまったことだろう。

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