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「我が名は毛利元就、安芸の国の国主である」
「そう、あなた、毛利っていうの、毛利っていうのね」

一緒に手を上げたら植物が育つかしら。ぐいーと縛られた両手を上にあげようとする。太陽がさんさんと照っているわ、あとはカブトムシを植えればいいの。そしたら大輪のガラスが咲くわ。手を切られないようにしなきゃいけないけれど。

「我は未来が知りたい。あの姫は固くなに口を割ろうとせんからな。それならば気違いでもいくらか役に立とうというもの。さぁ、未来の暗示を吐くといい」
「たくさんあるのに?」
「左様」

この人は知りたい、知りたいんだ七輪の炎のように。脳みそに響き渡る鳴き声を透明にしてそこで目を瞑る。魔王への扉を開くには、まずは勇者を倒さねばならないのだから。これがとってもたいへんなのだ。なんせ彼のレベルは8の反対だから。

「たくさんの魚にまどわされないでね、それが全てではないのだから」
「無論、分かっておる」
「いのちをだいじに、ガンガンいろいろめいれいしていきましょう」

毛利モトナリを探して糸を掴む。見えて消えての生憎憎悪。さらさらと流れるように消えていくうどんと泳ぐさんまの塊をかき分けてマンボウの上に乗る。駄目よ飛びはねては、あなたは死んでしまうから。一生懸命ゆっくり周りのものを腹につめて、それでゆっくり波にながされなきゃいけないのよ。

「3本の矢は決して折れないの、そのことを覚えておかないと木に蝶がたかって猫が湧いてしまうわ。矢三本はとってもつよいのよ、何もかもを無くしても・・・」

流れ出るリンゴに追いつかなくてはと必死に喋る。彼はただそれを聞いているだけ。そしたらぷつ、と砂嵐が消えて、あんこは宇宙に似ているなと思った。きっとそれは汚泥のような水色に、きらきらひかるつぶが浮いているせいだ。たぶん。

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