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お兄さんが大きなドラゴンポケモンに乗って、そらをとんでどこかに行ってしまうのを見てから、僕は卵をかかえて家へ帰った。お父さんとお母さんは卵をかかえて戻ってきた僕をみてとてもびっくりしていたけど、わけを言ったら大事に育てなさいと言ってくれた。

「ナマエもあと2年で10歳になるもの、丁度よかったのかもしれないわ」
「そうだな。いいかナマエ、その子を大切にするんだぞ」
「うん!」

反対されなくてよかった、と思いながら腕の中の卵をぎゅっと抱きしめる。あとでメイお兄さんにお礼を言おうと話してるお父さんとお母さんに、自分の部屋に行くと言って僕はリビングから抜け出した。

「僕も、君を絶対にボックスの中にいれないからね」

メイお兄さんから聞いた話を、僕はお父さんとお母さんに言っていない。お兄さんが誰にも言わないでと僕に頼んだのもあるし、僕も、僕のお父さんとお母さんはポケモントレーナーだから、言わない方がいいんじゃないかと思ったから。

ベッドの上で、あのときお兄さんがしたように固い卵のてっぺんを撫でる。早く元気で産まれてきますように、そう思いを込めてゆっくり優しく撫で続けたら、少しだけ卵が動いたような、そんな気がした。


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