サヨナラ16


キャタピー、ビードル、トランセル、コクーン、バタフリー、スピアー。それから+αでピカチュウ。一応トキワの森で暮らしている生き物は全てデータを手に入れた。
捕まえなくても大体のデータは取れる。たとえば、そう。キャタピーなんかはこちらに見向きもしないから堂々と傍によれるし、コクーンなんかは動きもしない。バタフリーは友好的、スピアーは縄張り主張が激しいから倒してから取るしかないけどな。

「ううん・・・」

ポケセンに寄り、疲れを癒してからニビジムの前で少し躊躇。ここのジムリーダータケシはいわタイプの使い手だが、こちらの手持ちはヒトカゲとポッポ。どちらも岩には弱い。まぁイワークの攻撃力は結構弱いのでごり押しでいけなくもないのだけど・・・。

「ヒトカゲ、お前メタルクロー使えるよな」
「かげっ!」

ぽぽんと二匹をモンスターボールから出す。その問いにしゃきんしゃきんと爪を硬化させたヒトカゲに頷き、続いてとりポケモンよろしくこつこつと地面をつついていたポッポにすなかけは使えるかと尋ねる。答えの代わりに砂が飛んできた。

「くるっぽー!!」
「ぶわっ!・・・・・・・使えるな?よし」

ぺっぺと口の中の砂を吐きだしながらも、ならば突破できそうだと作戦を建てる。ドラクエ風に言えばガンガンいこうぜだ。ポッポのすなかけ、それからかぜおこし。ヒトカゲのひのこ、メタルクローがあればタケシなんかけちょんけちょんだった。少なくともゲームの中じゃ。

「ジムバッジ、貰ってやろうじゃねぇか!」

勝とうぜ、とこちらを見上げて来る二匹に笑いかける。勢いよく頷いてくれた二匹をボールに戻して、俺はジムの扉をゆっくりと開けた。

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