サヨナラ15


森の中はくさタイプとむしタイプの宝庫だ。たまにノーマルタイプ。トキワの森限定ででんきタイプ。
太ももまであろうかと言う草むらを踏みしだき、ポッポを肩に乗せて先に進む。途中のむしとりしょうねんは昨日の鬱憤を晴らすかのように肩の上のポッポさんがつつくとかぜおこしコンボで撃退しましたが何か?むしとりしょうねんは1分もたたずについた勝負に唖然としていたが俺も茫然としていた。ポッポってこんなに強かったっけ?まずつつくなんて覚えないんじゃなかったんですかね?

「・・・・・お前のポッポ、強いな」
「・・・・・あ、ああ・・・・ありがとう」

ちゃりんと俺の掌に賞金の32円を置いて、むしとりしょうねんは我関せずと言ったように俺の肩の上で毛繕いをしていたポッポを眺めていた。別れ際にひこうタイプもいいもんだなと目を輝かせて言っていたので、もしかしたら俺とポッポは一人の少年の未来を変えたのかもしれない。しかしむしとりしょうねんが大人になったら何になるんだろうな、研究員とかだろうか。

「お、ピカチュウ」

草むらをかきわけた瞬間どこからかぱちり、と乾いた音。きょろきょろとあたりを見回すと近くで黄色い生き物を見つけた。いっちょ前にこちらを威嚇しているピカチュウに向かって図鑑をぴかり。どうせレッドが捕まえるような気がしなくもないから、今回は放っておく。姿だけとっておけばいい。

「・・・・・・」

威嚇でふぅふぅ息を荒くしている様子はなんというかその電気袋をふにふにとつついて苛めたくなる系の可愛さなのだけど、格段にほしいってポケモンでもないしなぁ。ボックスに大量のポケモンを納めておく趣味もない。ポケモンは6匹+αいれば十分だ。

暫くピカチュウを観察してから、その場を去る。やっぱり俺はどっちかっていうとかっこいいポケモンの方が好きだ。キモいポケモンも嫌いじゃないけどな、でも考えてみろよグリーンがピカチュウを抱えているシーンを。似合わ・・・いや案外いけるかもしれないな。

そこまで考えてから、その考えを誤魔化すようにポッポのふかふかの胸毛に手を差し入れる。極上の羽毛布団が出来そうなぐらい彼女の胸毛はもさもさなのである。ちなみに我が家の布団も羽毛布団なのであるが、何の毛が使われているのかは不明だ。ひき千切るわけにもいかないだろうしやはり抜け毛なのだろうか。いつになるかは分からないが、あとで何の毛なのか検証してみる事にしよう。

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