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傷を焼くと血が止まる。まぁあんまり綺麗じゃないけど。ある程度止血して体中に包帯を巻いて、ちょっと前に切り取って血を抜いた両手を頭に縛り付けて蝶々。目蓋を切り取って瞬きさせなきゃ、あっという間に目は赤くなる。墨をぬっても良かったけど、涙で流れちゃうから駄目だ。それから残った足の骨を全て砕いて背骨を一部、交互にはずす。

大谷吉嗣さんはこれを気に入ってくれるでしょうか。最近うざったいほど忍び送りつけてくるから、たまにはお返ししないといけないんじゃないかって僕、思うんです。

「…………、」

びくんびくんと魚のように跳ねる肩の荷物をそっと大阪城へ。気づいても気づかなくてもいいよー。お返ししますねー。

「……ぅー、…………」

焼肉食いてぇと思いながらひょいひょいと木の上を飛ぶ。何%火傷したら人は死ぬんだったかな、80%だったかなぁ。じゃあもう死んでるかな。ああ鉄板洗わなきゃ、油ひかないと肉がくっついて困る。炒め物にはやっぱり油が必要だ。

「…………」

次は皮を剥いでから焼くべきか、なんて考えながら駆ける俺の耳に聞こえてきたのは誰かの怒号。普通なら物理的に届かない距離だけど、俺には分かるよ。ほら、風の噂って言葉があるじゃんか。

げらげら笑いながら走る。走る。今度またピンポンダッシュしに行こうかしら。

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