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汚れてもいいようなラフな服に着替えてから意気揚々と育て屋さんへ。一体どんなポケモンが預けられたのかしらと鼻歌を歌いながら34番道路を歩く。

「初めてみる子だといいねぇ」
「ちぇり!」

その言葉にぴょんぴょん跳ねて同意したチェリムに微笑んで、育て屋さんのドアをこんこん叩いて中に入る。

「こんにちはー、お手伝いにきましたナマエですー」
「おお!ナマエさん!」

しかしカウンターには誰もおらず、おかしいなと思って声を張り上げる。するとどたばたと言う音とともに育て屋のおじいさんが裏口から現れた。ちょっと息切れしてる。

「こんにちは……何か、あったんですか?」
「うむ、そこの浜辺で初めて見るポケモンを拾ってね………そうだ!ナマエさんはシンオウからこちらに来たんじゃろ?ちょっと来てくれ!」
「うぇ!?わ、私そんなにポケモンくわしくないですよ?」
「大丈夫大丈夫!」

さぁこっちだ、とカウンターの後ろにまわる扉をあけてくれたおじいさんに従って、そこを通り抜けて裏口へ。二人がポケモンの世話をしている庭に入れば、水タイプ用の池を覗き込んでいたおばあさんが私を見て手招きした。

「こんにちは」
「こんにちはナマエちゃん。ねぇ貴方、このポケモン見たことあるかしら?」
「どの子ですか?」

ふわふわと様々なポケモンが泳ぐ池の中を覗き込む。何故か私に懐いている一匹のコイキングの猛烈なアタックをどうにか押さえ込みながらおばあさんに聞くと、彼女はその私とコイキングの様子を微笑ましく見ながらあるポケモンのことを指差した。

「この子なんだけど………」
「んー…」
「ち?」

皆で池を覗き込む。チェリムもそれにつられてひょっこり私の足下から池を眺める。何故か私に引っ付いているコイキングも同様だ。その熱視線をうけてビクついているポケモンは、随分みすぼらしい体をしていた。

「怪我してるんですか?」
「いいえ、それが健康体なのよ」
「…………そうですか」
「りり…」

あらまぁとそのポケモンを見る。ボロボロのヒレに斑点だらけの体。何もかも諦めたような半目に、ひん曲がった唇。うむむ正直言っちゃうとブサイクちゃんだ。

「はじめまして。私、ナマエって言うのよ」

片手でコイキングを押さえ込み、もう片手をそのポケモンの傍に近づける。すると恐る恐るながらも私の手にボロボロのひれをくっ付けてきてくれたではないか。いい子なんだなぁと思いながら親指と人差し指でひれをそっと掴んで握手の真似事をし、池から手を抜いた。

「あとで、オーキド博士に手紙を出してみましょうか」
「……ああ。その手があったねぇ」

僕も私もと言いたげなチェリムとコイキングにもそれぞれ握手をしてやってから、おばあさんにそう言ってみると頼んだよとの返事が返ってきた。カメラを貸してくれるそうだ。

「はいチーズ」

かしゃりとポケモンを写したそのはしっこには、ちゃっかりコイキングが写り込んでいた。

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