泣き虫毛虫は蝶になる


n番煎じなタイトル
詳しくはネタに








私がすむ町、コガネシティはジョウト地方の中心部に位置している。町の真ん中にある大きなコガネデパートは、タマムシデパートにも劣らないぐらい品揃えがいいらしい。公園やポケスロンの会場も近くにあるし、カントー行きリニアやラジオ塔もあるし。実に便利でいい町だと私は思う。

朝、起きて最初にすることは相棒をボールから出して朝日を浴びる事だ。ぽわわーん、とどこか眠そうにくぐもった鳴き声をあげた相棒に笑いかけてカーテンを開ける。顔に当たる爽やかな風と柔らかな朝日に目を細めて隣を見ると、すでにチェリムは花びらを広げて気持ち良さそうに日光浴をしていた。行動が早い。

「ねぇ、チェリム。今日は育て屋さんちの所にお手伝いしにいかない?凄いかわいいポケモン預かったって言ってたの」
「りぃ!」

目を閉じて気持ち良さそうに日光を浴びるチェリムにそう話しかけると、彼女はぱちりと片目を開けて私に向かって頷いた。そしてまた日光浴に戻る。
完全に日光浴>私だが、晴れた日はこれがないとここから一日彼女の花びらはへにょりと萎れて本体もどこか億劫そうな顔をし始めるのは経験上わかっている。だからチェリムをそのままに私は寝室を出て台所へ。めんどくさかったので洗面所ではなくそこで顔を洗い口を濯ぎ、朝飯の用意を始める。

「ちぇり?」
「ん、これテーブルんとこ持っていって」
「りっ」

目玉焼きを焼いていると日光浴を終えてぴょん、と調理台の上に乗ったチェリムが何か手伝えることはないかと尋ねてきた。それに器に盛ってあるポケモンフーズを持っていってと頼めば嬉しそうに頷いてえっちらおっちらテーブルの上へ。何度見てもかわいいなぁと思いつつ私も焼き上がったパンと目玉焼きとサラダを持って席に座る。

「いただきます」
「りぃ!」

やっぱり黄身は半熟に限る。

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