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お腹が空いたような気がしたからはぐはぐと捕虜の首筋を噛む。動脈を探って。んー、もうこんな脅しをしたってこの捕虜はなんにも答えない。なんでかって?もう全部出し尽くしたからです、こいつから搾り取れる情報は何もない。

「助け……たす、っぐう゛あ゛っ!!」
「…………」

力一杯肉を噛むと口の中でごり、と音がする。じわー、と広がる液体はきっと血だ。そこに滲んだそれを吸血鬼見たいにじゅるじゅる吸うとがくがく体が痙攣した。あー耐え性ない。質が悪い忍びだ。つまんね、佐助に会いたいなぁ。

「…………」

口の中に布を詰め込んで、喉を噛み千切る。悲鳴を布に吸収させてくちゃくちゃと男の肉を咀嚼してみせると化け物見てるみたいな目が俺を凝視して、失礼だな全く。パフォーマンスの一種だよ。眼球はつるつるして面白おいしいけど血抜きもしてない肉なんて糞不味いに決まってんだろ、食う価値もねーわ。
だからぺっ、とそれを床に吐き捨てる。血を垂れ流す傷口を舌で抉ればさらにあふれでる熱い血液。んーいいわー。俺ね、何気にこうやってこうやってじーわじーわ死なせるのが一番好きかも知んない。いやぱぱって首ちょん切っちゃって人間ポンプするのもいいんだけどなんていうかさぁ………。まぁどっちかっていうと俺はサディストな方だと思う。あとね死体だって綺麗に解体したらすっげーきれいなんだよ、突っ込みたくなっちゃうぐらいに。今ん所暇ないからしたことないけど。しかもね、ほら動物とか虫とかはあんまり、ぎゃんぎゃん吠えたりとかはするけど叫んでくれないじゃん、痛いとか言ってくれないじゃん。それつまんないんだよね、俺は同族をどうにかするのが好きなんだわ。悲鳴ってのは一種の芸術なの、死もそうなの。付けてあげた傷で喚かれるのが好きなの。俺が一番好きなのは楽しんだ後に埋めて肥料にすることで………だってエコじゃん。どうせ腐っちゃうなら美味しく食べたいよね。血抜きはめんどくさいし、腹攻撃することおおいから大体大腸やぶれて食えなくなっちゃうんだよ。そうだ、君なら案外いけんじゃないの。今日はお腹攻撃してないよ、ね。あれ、ちょ、返事してみ。あれ?………………死んでる………。

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