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最近嫌な夢をみる。俺が俺をみてる。もともとあんまり眠らなくても活動できるからだだったけど、最近の平均休み時間は30分。体ぶっ壊すわこれ。

「風魔や、最近顔色がよくないぞ。体調がわるいのか?」
「・・・・・・・」

あ、じいちゃん。うん、変な夢をみるんだ。俺は死んだはずなのにでもあっちでどうにかこうにか生きてるんだ。刑務所に入ったらホモに襲われるんだぜー。それで犯された腹いせに目玉くりぬいたらもう誰にも襲われなくなったけどそれはそれでさびしいんだって、なんていえるわけないじゃん。だから悪い夢をみる、と唇をぱくぱくうごかした。

「悪夢か」
「・・・・・・・」

ふむ、とじいちゃんが首をひねって考える。人をいっぱい殺した俺でも悪夢なんて見るのか、とかそういうこと言わないから俺じいちゃんすきよ。こうやって俺のために考えてくれるのも好き。

「・・・・・そうじゃのう、思いついたぞ小太郎。赤は魔を払うというんじゃ」
「・・・・・・?」

赤?僅かに首を傾けるとじいちゃんがほっほとわらってちょっとまっとれと部屋の中に入っていった。命令通り待ってた俺の前に、じいちゃんは小さな貝殻を持ってきた。中には紅がはいっている。それは。

「これはの、家内のものじゃったが。今は使うものもおらんでの」
「・・・・・・・・」
「小太郎のために使えるのならあいつも喜ぶじゃろうて」

じっとしとるんじゃぞ、そう言ってじいちゃんは指に紅を付けて俺の頬に模様をかいた。ごつごつしたしわくちゃな指が俺のほほをゆっくりとなぞっていく。目を閉じてそれを甘受する。真っ赤な紅色の線。魔除け。俺の夢は魔だ、たしかにそうだ。だって俺はあのとき、しんだはずだもん。

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