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予想外に怯えられて予想外に微妙だったから放置。でも一応喉に噛みついたまま、震える体の感触を堪能する。くつくつと喉奥から笑い声が出てきた。薄い皮膚に包まれた中身は血の滴るピンク色の肉。犬歯で容易く喰い千切られる薄皮一枚。あのね、今は食わんけど。あとでゆっくりお前の目を食べたげる。予約しとくから。

最後に噛み跡を舐めあげて体を起こす。見下ろすと睨まれた。

「なにが、したいっ……!」
「…………」

微妙に息切らしながらよく言うよお前、殺されるかもって思ったんだろ。意外?ねぇねぇ意外だったでしょっ!
にこ、と精一杯の笑い顔を見せると息を飲まれた。なんだか今度の顔は笑い顔に定評があるらしい。部下に笑いかけると100%怯えられるもんね。

「…………」

手を地面に縫いとめたまま、あれは放置だ。あそこでバイキンはいって死んだら死んだ。生きたら生きたで俺が殺す。
ひょいひょい空を飛びながらじいちゃんのとこに戻る。バサラがあれば空気圧縮して宙に足場もつくれるのだ。空中散歩楽しいです。

「風魔!戻ったか!」
「…………」

うんじいちゃん!風魔がんばってきましたぁー。撫でて撫でて!ほーめーてー。そしたらまた殺す。じいちゃんに誉められただけ人殺す。もう正直人間殺すのちょっぴり飽きてきてるけど、まぁ小動物よかましだし、悪いやつ殺せばじいちゃんに誉められるからこの世の全ての人間はそれだけで生きてる価値あるわ。


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