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きっと可愛さ余って憎さ百倍って奴だ。中々死ななくて憎たらしいな、でも嬉しい。

「ちょっ、と!しつこいよ風魔ッ!」
「…………」

がきんがきんと金属と金属がぶつかりあう音。こいつはもうとっくに北条の敷地、俺のテリトリーから出てる。なのになんで追いかけてるかって?ちょっとこいつの目を食べてみたいからなんだけどね。ただそれだけ。

「いい加減にっ、しろよなっ!」
「……!」

血だらけの忍びの影から、ぶわっと何かが出てくる。祟り神のあれみたいな黒い触手だ。うわきも。きもい、触んな。
刀を勢いよく振ってしゅぱりしゅぱりと風の刃をだせばざくざく切れる触手。げ、と目を剥いて急いで影に潜ろうとした忍びの首根っこを掴んで引きずり出す。ぎらぎら光る血走った眼。うおやべっ、…………勃つ。

「ィっ、てぇっ!!」

だんっ、と忍びの両手を一纏めにしてクナイで地面に縫い付ける。呻き声もそそる。うわぁ久しぶりだよこんなに興奮したの。めっちゃ楽しい。俺と戦って生きてるってのも楽しい。ずぐ、と下腹部が重くなるのに任せて相手の露出された喉を舐める。ひ、とか細い悲鳴が上がって覆い被さった体がびくりと震えた。あれ……うーんなんだこの生き物、嗜虐心誘いまくりで逆に面白くない。もっと抵抗してほしかった……萎えた、糞。


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