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しゅ、と一息で屋根裏に移動する。ちょっと埃っぽいそこで腕を組んで仁王立ち。風のバサラで敵の場所を把握する。勿論限りはあるけど、城の中ぐらいなら充分範囲内だ。

「…………」

見つけた。じいちゃんの政務室の上、下に降りようとしてるな。許さん、そこは俺とじいちゃんとの寛ぎスペースだ。
風を纏った身は、何よりも早い。さすがに音速とかには負けるけど絶対チーターには負けない。

「…………げ」
「…………」

すたりと畳に降りる。迷彩色の服を着た忍びが丁度じいちゃんの机を覗き込もうとしてた所だった。見たか見ないかはどうでもいい、ぶっ殺死だ馬鹿野郎めが。そこは不可侵だ。

「よりによって風魔小太郎かよ……俺様ちょっとやばいかも」

そう言いつつオレンジ色の髪の毛したちゃらい忍びがクナイを構える。あっはぁー、いい、実にいいぞお前。俺わかる。お前そこらへんのよりつよい。だからここじゃ風、使えないから外に出たらいたぶって殺してやる。あ、でも旨そう。めっちゃ旨そう。とくにそのぎらぎら光る眼が旨そう。舐めたい、食べたい、ほしいなー。あっこれが愛、ってやつかもしれんなー。


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