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そんなかんじで殺し殺して殺しまくってたら変な能力出てきて里の長とやらの名前もらった。風魔小太郎が俺の名前。ふーんって感じだった。それよりも風のばさらとやらはいい能力だ。俺の身に纏う風全てが武器になる。風圧で人の体は容易に切り裂ける。

「風魔、風魔や」
「…………」

あ、じいちゃんだ。じいちゃんー。俺じいちゃんだけは好きだよ、何か安心するから。だからじいちゃんが呼んでくれるから、風魔小太郎も好き。

「のう風魔や、共に団子を食べようぞ」
「…………」

うんたべる食べるー!気持ち尻付近についてる尻尾をふりながらマテしてるとじいちゃんがにこにこ笑う。頭撫でてくれる。前世の両親より、俺はじいちゃんのほうが好きだな。愛してるじゃなくて、すき、だけど。

「…………、」

そこまで考えて、ふと俺は「愛してる」を知らない事に気がついた。セックス=愛じゃないし、じいちゃんに対する気持ちも愛じゃないし、ええっと愛ってなんだっけ。お母さんからもらった記憶はないな、あの人は潔癖症な気があったしお父さんは仕事で忙しかった。

「…………」

もぐもぐ団子を頬張りながら、兜のせいで不明瞭な視界の中目を細める。愛、そんなどうでもいいこと考えてるあいだにいつのまにか侵入者だ。じいちゃんに団子を預けて上に行くとジェスチャーすると目を細めて頷いてくれた。

「怪我するでないぞ」

うん、だからごほうびにいっぱい頭撫でてじいちゃん。

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