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家の周りは林だ。川もあるしそこには魚も住んでる。雨季にはカエルがけろけろ鳴いてうるさいって母親と父親がぐちってた。
「お母さん、俺おたまじゃくし見にいってくるね!」
「はいはい、気をつけるのよ」
「うん!」
糸とスコップをもって、湖に行く。目当てはおたまじゃくしじゃない。おたまじゃくしは虫よりつまらない。だからそこらへんにあった木の枝でちいさな釣竿を作ってそれで魚をつる。餌はミミズとか色々。けっこうよく釣れる。
「ははは」
スコップはナイフの代わりにもなる。ぐちゃぐちゃと魚の内臓を調べてみると、胃の中にはおたまじゃくしとか小さな虫とか、色々はいってるのが分かった。あ、寄生虫ってやつかなこれ、魚の血もあかい。魚はぬめぬめしてるし力強い。きゅうって握るとにゅぐって粘膜がとれて舌がべろんっ!って出て来る。そんでびくんびくんってなる、あっこれお父さんが見てた大人のおねえさんが裸であんあんいってる漫画。あれにこんなのでてきたな。
「えーと」
そうこれたしかイくっていうんだ、俺知ってる。読んだもん。えへっこれでまた頭よくなったんじゃないの?お母さん喜んでくれっかも。でもお母さんは汚いのきらいなんだよな・・・だから涎垂らして白目剥いてる女も舌も目も飛び出た魚もきっと嫌いだ。秘密にしとこう。はは、俺の秘密。
「んーんんー」
ふんふん鼻歌歌いながらスコップでざくざく穴を掘って魚を埋める。こうすると栄養になるんだって本に書いてあった。あとでここに大根とかうめてみたらおいしいのが育つかもしれない。やってみよう、んでお母さんに見せよう。きっと喜んでくれるにちがいない。
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