シャチ7


じろじろ、無遠慮に子供の姿を観察する私の視線に、子供は少し脅えたような素振りを見せた。おおっと申し訳ないね、別に何かしようとは思ってないのさ。只、時代背景がよくわからなくてね。

さて、仕事も終わったし仲間の所へ戻ろうかと静かに海の中へ体を潜らせる。くるりと子供に背を向けて海原に進みだそうとしたその時。

「ま、まって!あ、わ、わぁ!」

ばしゃん!と後ろから聞こえてきた水音。まさかと思って振り返ると、またしても海の底に沈んでいく子供が見えた。

「ぎゅあーっ!?」

この子もしかして金づちなの!?
急いでもう一度子供の下に潜り込み、上へ上へとその小さな体を押し上げる。けほけほ噎せている子供を背中に乗せつつ、ぜぇはぁと精神的疲れに息をあらげさせながら、また岩場に近づいてやると子供は腰が抜けたのか、四つん這いでそこに乗り移っていた。大丈夫だろうか。


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