サヨナラ13


娯楽施設、食堂、ポケモンだけじゃなく人間のためのお医者さん。『ポケモン』と言う生き物が社会に組み込まれているからか、ポケモンセンターは色んなものが充実している。ここに住んでるみたいなポケモントレーナーもいるんじゃないかと思うぐらいだ。

「ふぅ……」

部屋に備え付けのお風呂を先にかりて、体中をほかほかさせながらベッドに座ってあぐらをかく。すっごくいい湯加減でした。

「出たぜー」
「うん、じゃあ僕が入ってくる」
「おう」

荷物をきっちりかっちり整理していたレッドが、その言葉でぱっと自分のパジャマを抱えて部屋から出ていく。

「あー……」

それを見送ってから気の抜けたような声を出してベッドにぼふりと倒れ込む。ふかふか柔らかなマットが俺の体重を受け止めて僅かにたわんだ。ぴょんぴょん上で跳び跳ねたら怒られるな、なんて事を考えつつベッドに置いてあったポッポのモンスターボールを手に取った。

「…………」

彼女はまだ怒ってるだろうか、自分をレッドとの勝負に出さなかったことに。

「1対1でしたって、わかってくれてたらいいんだが」

この何をしても数分後には元に戻る剛毛を、ボールから出した途端にぷちぷち抜かれたことはまだ忘れてない。何気にポッポは怖い。俺が禿げたらどうしてくれるのだろう。

「出てこい、ポッポ」
「…………」

ポン、と軽い破裂音とともにポッポがボールの中から出てくる。ぶすっと機嫌悪く毛並を逆立てているその様子に苦笑して、彼女を抱き上げて見つめ合う。抵抗はされなかった。

「レッドは少し別格でな」
「…………」

ごめんなと逆立った毛並を撫でてやる。くるっくー、と諦めたように鳴いたポッポが、俺の手にぐりぐりと顔を擦り付けてきた。その愛情表現のお返しに、彼女の頭に軽くキスをする。

「……グリーン」
「…………ん?」

絶対零度の声に顔を上げると、そこには風呂上がりのレッドがいた。おいポッポと睨み合うのは止めろ。なんだよこの修羅場、俺が悪いの?

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