サヨナラ11


レッドの言うご褒美は、恐らくポケモンとか道具とかそう言う物じゃないはずだ。
考えこむ俺をレッドが見つめる。いつもはきらきら輝いている瞳は、今はちょっとだけ暗く濁ってる。

「…………」

まぁ、当たり前か。今まではマサラだけがレッドの世界だった。俺もそうだけど、俺には前世がある。他の世界を知ってる。彼は知らない。

「……わかったよ」
「本当?」
「ああ」
「やった!」

にへ、と顔を崩したレッドが早速ご褒美貰ってもいい?と俺に尋ねる。早いな、今からかよ。

「しょうがねぇな……」

飴と鞭は使い分けだ。頭を撫でて欲しいと頬を少し染めながら言うレッドにはいはいと答えて帽子をはずしてやり、ゆっくり頭を撫でる。

「お疲れさん」
「……うん」

グリーンも、お疲れさま。
俺に撫でられながら目を瞑って、ほわほわしてるレッドがそう呟く。トキワからマサラまではそう遠いもんじゃない。歩いて5kmぐらいだ。でも、精神的な疲れは溜まる。本当にお疲れですよ、俺もお前も。緊張なんてしないと思ってたけど、やっぱりなんていうかうん、肩に力いれちゃうよなこう言うの。別にじーちゃんは俺達に図鑑を全て埋めてほしいって言ってるわけじゃないし過度な期待かけられてるわけでもないんだけれど、でも、プレッシャーってもんは確かに存在してるからなぁ……。

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