佐助成り代わり21


また、寝てるのか起きてるのかいまいちぱっとしない時間が過ぎた。真田家に来た時とは違って、師匠は里に帰る途中で宿を取ったみたいだ。布団っぽいのに寝せられて、寝ろと言われて毛布をかけられる。眠いけど眠くない、よくわかりません。でも瞼が上がらない。どうしようかな。

「…………人形みたいになっちまったな」

ここまでされるとは、真田も思ってなかったらしいぞ。なぁ佐助、あいつらは女を舐めすぎだ。
師匠がゆっくり頭を撫でる。最近よくあたまを撫でられる。最初は嬉しかったけど今じゃなんにも思わないや。

「起きてるんだろう?この宿には2日ほど滞在する予定だ。ゆっくり休め」

はいわかりました。って答えたつもりだったけどやっぱり喉は動かなかった。重い瞼を無理矢理少しこじ開けて、返事の代わりにまた閉じる。そしたらまた頭を撫でて、師匠は部屋から出ていった。少し開くようになった瞼を僅かに開けて、部屋の中を見れる範囲で観察する。師匠は随分良い部屋を取ったらしい。凄く綺麗な所、毛布ふかふか。こんなの14年ぶりだなぁと思ったらぽろって涙が布団に落ちた。おかしいなぁ、枯れたと思ったんだけどなぁ…………。あれっ、なんでそう思ったんだっけ。思い出せるけど、思い出したくないかもしれない。

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