佐助成り代わり18


その描写自体はありませんが強姦を匂わせる要素があります。
















顔に水をぶちまけられるところから始まって、生爪をゆっくりゆっくり時間をかけて剥がされ始めた頃だろうか。何をしても叫ばない私に男がキレた。逆ギレだ。

「お前本当に人か!?忍びだから、じゃ済まされねぇ。どんなやつでも爪を剥げば声ぐらいは出すぜ」
「、…………」

意地でも声は出さないと決めていた。殺されるぐらいならせめてこいつに一矢報いたい。思い通りにならなかった獲物に苛立てばいい、そしたら私の勝ちだ。勿論殺されるつもりはないが、そう言った抵抗はする。師匠との訓練で私は我慢強さを手に入れた。だからお前ごときの拷問は、悲鳴をあげるほどじゃない。

「…………つまんねぇ餓鬼だ。苛めがいがこれっぽっちもない」
「…………」

とにかく沈黙を貫く。この男の言う言葉には反応しない。 じょりじょりと男が髭をなでる音がする。何かを考えているのだろうか。その隙に、忍び達が弁丸様を襲った時に出た黒い何かを呼び起こせやしないかと念じる。自分の奥の奥、深い黒。おぞましい妄念、生への執着。闇。

「っ…………」
「お、見つけた見つけた。やっと反応したか」

そこまでイメージが固まって、あとは引っ張り出すだけ。なのに男に思いっきり尻を叩かれてそのイメージは霧散した。いや、それよりも、ヤバい。意識を逸らしていたのがいけなかった。声をあげてしまった。

「正直よぅ、忌み子は嫌なんだが………まぁ具合がよけりゃなんだっていいや。なぁ。お前だって、どうせならきもーちよくなってから死にたいよな」

その下卑た猫なで声にぎり、と下唇を噛む。畜生、もうこのあと何が起きるかなんて、誰だってわかる。先程力いっぱい叩かれて腫れている箇所をゆっくりと撫でられて、そのむず痒さと痛さに意思とは関係なくびくびくと体が震える。へへ、と笑った男が私の口の中に指を入れてぐちゃぐちゃ掻き回す。それについ思いきり、肉を抉るように噛みつけば直ぐ様引き抜かれる指、殴られる腹。一瞬呼吸が止まって、霞む意識。
私に向かってぎゃあぎゃあ怒鳴り散らした男が刃物か何かで私が着ていた着物を裂き、下帯を剥いだ音に紛れて私は深く息を吐いた。神は死んでいる、だから助けなんてこない。これがハジメテじゃないのは、私にしては運がよかった方だろう。そう思うことにして何も見えない暗闇の中、そっと目を閉じる。涙はもう出ない。何もかもがどうでもよかった。

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