佐助成り代わり16


しかし私のシリアスムードは酔っ払いにぶち壊される事になる。……頭を撫でて労られただけで一喜一憂したのが今更恥ずかしくなってきたわ。

「そーれ一気!一気!」
「お前はやれば出来る子!」
「ン、ん…………」
「良い飲みっぷりだ!流石ばさら持ち!」

はい、今何をさせられているのかといいますと。日本酒の一気飲みです。14歳に飲ませんな、酒は20になってからだ!……なんて上司に言えるはずもなく、こうして進められて酒を飲むはめに。こう言うのパワハラって言うんだっけ?

「ぷはっ」
「あっはっはっは!」
「いやはや、酒はいいもんだねぇー。ほらおかわり」
「あ、ありがとうごさいます」
「何、遠慮すんなって!」

よくねーし、遠慮してんだよ。上司なら察せよ。
随分アルコールのキツい酒を噎せながら喉に無理矢理流し込み、ようやくそそがれたもの全てを飲み下す。そんな私を見て大声で笑う忍長と更に酒を注いでくる昌幸様。ここは地獄か、一気コールすんな。それに昌幸様、あんた弁丸様に会いに行けって言っておいて酒飲ませんなよ!これだから酔っ払いと正月の親戚のおっさんは嫌なんだ!
しかめっ面しながらも器になみなみと入った酒をまた腹の中に入れる。ひく、と横隔膜がひきつって小さなしゃっくりが出たのに気をとられた隙に、また酒を器に注がれてエンドレス。途中から段々頭がぼんやりしてきて、ちょっと夢と現の境目がどこかわからなくなってきて、急性アルコールちゅうどくとかだいじょーぶかなーって。でも案外だいじょうぶだった。ちょっとふらふらしてるけど、帰りなさいって言われたからはいって返事してしつれいして廊下に出た。なんか最後に忍長がごめんなって言ってた気がする。

あ、駄目だ。すごく眠い。

体が熱くてふわふわする。バランスを崩して廊下から庭に落下しそうになったのを、誰かが大きな腕で支えて抱き締めてくれた。うん、これで、…………あんしん。寝ても、いいよね。

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