消える

「……何がどうなってこうなったんじゃ?」

「理解できないんだが」

仁王と柳が代表して言う。
他の奴等はキャパシティーオーバーしたみたいだ。

『えー?僕の妹を消すために神様を呼んだだけだよ?』

「いや、そりゃなんでも……まぁ咲哉なら当たり前、なんか?」

『ふふっ、あぁ、テニス部レギュラーの皆さん、初めまして。僕は精市に何故か憑依したそこの女、霧雨白の姉、咲哉です。まぁよろしく?』

いきなり自己紹介をした僕に柳は自己紹介をしても今は意味ないだろうとバッサリ言ってくれた。
別にいいじゃないか。自己紹介は大切だよ。

「空気ぐらい読むんじゃな」

『なんかムカつくな。あぁ、仁王。皆に見せた?』

「ぬかりないぜよ」

『ありがと。あぁ、神様。ソイツ消しちゃって?』

あっさりと言い放った言葉に反応したのは紛れもない、レギュラーの一部だった。

「ちょっ、何で白を消すんだよぃ!」

「そ、そうッスよ!」

『なら君たちはコイツのしたことを許すって言うのかい?』

僕がそう言えば、言葉に詰まる2人。
そんな二人に追い討ちをかけるように言ってやる。

『姉の僕から言わせてもらうと、だ。妹は歪んでいる。君達も動画を見てわかってるだろう?』

「それは、そうだな」

初めて真田が喋ったね。
てか真田の存在に今気付いた。

「白は歪んでなんかっ!」

『今、その言葉を誰が信じる?お前がペラペラ喋って、動画を撮られたんだろ?自業自得じゃないか。僕はただ、君を嫌いな理由を君に教えただけだし、動画もたまたま撮れただけだよ』

僕がそう言えば、妹の顔が青くなっていく。
妹がレギュラー達を見るが、レギュラー達は皆顔を逸らした。
ハッ、ザマァねぇな。

『それじゃ、お願いするね、神様』

「あぁ」

大きな光は嫌がる妹を包み込む。
僕は暴れる妹に近づき、ニコリと笑ってやる。







バイバイ

(可愛い可愛い、僕の馬鹿な妹)



(8/10)

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