最後の気持ち 妹が消えた後、部室は静まり返っていた。 『どうしたの、皆』 「だっ、だってよぃ…」 「そりゃブン太達も静かになるぜ、幸村」 『今は精市じゃなくて咲哉ね』 間違えているジャッカルに訂正をいれる。 そうすれば、すまねぇと謝って来たから許してあげた。 『んで、これからの事だけど、僕の役目はここまでだ』 「どういうことじゃ?」 『妹の言ってた通り、僕は消えてしまう』 ─"そんな事、絶対嫌だ" "そんな事言ったって仕方のない事なんだよ" "嫌だったら嫌だ"─ 駄々をこねる精市にため息をつき、また現れた大きな光に問う。 『僕はこれからどうなるの?』 「…そうだな。還るかあるいは──」 神様の言葉に皆耳を疑った。 神様曰く、歪みが修正される時にどうなるか神様でもわからないらしい。 『へぇ、この世って摩訶不思議だね』 「そうですね。ですが、私は後者にかけたいと思いますよ。何しろ、我々テニス部を救ってくださったのですから」 「やぎゅーもわかっとるのぅ。俺も後者であることを願うぜよ」 この二人を筆頭に皆後者にかけていく。 僕ともっと話したいからだとか。 ─"ふふっ、俺も後者にかけようかな" "もう、精市まで。ありえないでしょーが" "今咲哉が此処にいる事もありえないでしょ?だからもしかしたらもしかするかもよ" "ふふっ、まぁそうかな。あぁそうだ、精市" "ん、なんだい?" "今まで、ありがとね" "……どういたしまして"─ 僕の意識はそこで途絶えた。 ここから先、精市達が何を話したかはわからない。 でも、僕はまだ皆に伝えられていない。 感謝の気持ち (いつか絶対、絶対伝えるからね) (9/10) |