バラす

昼休みが終わり、退屈な授業を受ける。
そして、待ちに待った放課後がやって来た。
テニス部の練習が終わり、僕と妹だけが部室に残る。
まぁ、外に見学者がいるけど、それらの存在は今は無視しておく。
仁王達上手くやってるかな。

「……なんで白の事嫌ってるの?」

沈黙に耐えきれなかったのか、妹に口を開いた。
忘れている人がいるかも知れないが、僕はコイツ、妹が大嫌いだ。
名前を呼ぶのも嫌なくらい。
コイツは僕が嫌っているのも分からずに暮らしていた。
本当馬鹿な妹だ。

「ねぇ、何で?」

『あぁ、本当に馬鹿な子だね』

「……え?」

妹はポカンと目を丸くした。
こんな事を言われるとは思っていなかったようだ。
ふっ、本当自分が愛されていると疑わないんだね。

『まだ分からないの?あぁ、本当に馬鹿な妹』

「っ!?お姉ちゃっ!?」

『そう。君の姉だよ。君が嫌いな、君の姉だよ』

妹の目がいっそう大きく見開かれる。
僕が知らないとでも思ったのかな。この子は。
知らないはずないだろう。
妹は愛されたがりだけど、嫌いなやつは内心で嫌いだと罵る。
それを知っているのは僕だけだろうけど。
因みに僕が超能力者だからそういう事を知っているわけではない。
読心術という簡単なものを使っただけだ。

「…白がアンタを嫌いだって知ってるなら素で話したっていいわよね」

『…好きにすれば?』

僕がそう言えば、妹はニヤリと笑った。

「じゃあなんでこの世界にいるわけ?」

『それはこっちの台詞だろう?アンタ、行方不明って事になってんだからさ』

「へぇ?で、アンタはなんで精市になってんの?」

もしかして死んだ?と言う妹に眉をひそめる。
妹の顔が嬉しそうに、嬉々としていたから。

「だから何だって言うのかな。君には関係ないだろ?」

何か精市が出てきた。

─"ちょっと、精市。何してるの"

"これ以上我慢できないよ"

"わかった。わかったから、落ち着いて"

"わかったよ"─

精市はため息をついてまた替わってくれた。
もういきなり替わるのはやめてほしい。
てかいきなり入れ替わっちゃうって事は僕の力が弱まってるって事だよね。
……色々とヤバいかな。







弱まる

(力が弱まれば僕は消えてしまうだろう)



(6/10)

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