正体

僕の妹の名前は白。
真っ白な、汚れのない子に育つように付けられた名前だ。
だけど、妹は歪んでいて、真っ白なんてものじゃない。
だから僕は妹の名前が嫌いだ。
もっと言えば、妹の存在が嫌いだ。

─"咲哉"

"何?"

"君の妹は本当に無知な子だね"

"そりゃ自分が望めば全て叶うと思ってる子だよ?"

"ハハッ、馬鹿だ"

"全くだよ"─

そんな会話を精市としていれば、いつの間にか昼休みになっていたようで、柳に呼ばれた。
因みに今日は約束の日だ。

てかあれ。
今日ってレギュラー達が集まって昼食を食べる日だったっけ。

『あぁ、蓮二か。どうしたの?』

「少し話があるんだが、構わないか?」

『勿論構わないよ。弁当を食べながら話そう』

僕が弁当を持って近づけば、柳はコクりと頷いて先に歩いていく。
何だか今柳に着いていってはいけない気がする。
そう第六感が警報を鳴らしている。
まぁ僕のこういう予感は大体当たるからね。
でも大抵が面白い事に繋がってるから無視するんだけど。

僕達がついた場所は人気のない中庭。
僕がベンチに腰をおろせば、柳も隣へ腰をおろす。

「精市」

『ん?なんだい?』

柳は思い詰めたような表情で僕に問う。

「俺の推測が間違っていればすまない。先に謝っておく。だが…"今の"精市は精市ではない。違うか?」

思い詰めた表情をしてるわりに確信しているような、そんな感じがする。

『なんでそう思うんだい?』

「これは仁王も言っていたが、クセが違うんだ。"今の"精市は喋るとき「あぁ」と言うのがクセらしいが、俺がデータを持っている精市は「あぁ」と言うことは少ない」

『あぁ……そうか』

口調は似てても口癖は直せない、か。
まぁ当たり前だけど。

『ていうかさ、そこにいる仁王も隠れてないで出てきたら?何回も説明するなんて面倒臭い事したくないんだよね』

僕がそう言えば、茂みの中からガサガサと仁王が出てきた。
茂みの中から出てきた仁王は僕の隣へ腰をおろした。







バレる

(なんて、思ってもみなかったのになぁ)



(4/10)

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