焦



彼が起きるまで、というか朝になるまでが暇で仕方がなかった。
ぼうっと宙を見るのは嫌いだった。暇になると今までに起こったことを思い出してしまいそうで。
だから私は気持ちを遠くに遠くに置いていた。寂しくて、怖くて、自分が自分じゃない何かに侵食されているような気分にあったのだ。

私はこんなにも非情だということをいつも思い知らされる。

だからいつもイライラして人に当たり散らして、私は何が楽しかったのだろう。
でも本当の私の性格が段々と消えていくような感覚が、恐ろしくもあり本当は心地よかったのだろう。
今度こそ素直になろう。帰ったら、翔子や宰にももっと素直に話せるように。
私は思い出したから怖くなかった。
まだ自分の状況だとか、親友の状況がわからないから不安はあるけれど、何よりもこの家の人の暖かさに随分と癒された。
次はもっと笑顔で居られるように。

(…)

正直、考え事ばかりしていても何も時間は進んでいなかった。
ただ密閉した空気が蒸し暑いだけ。寝ている間にどれくらいの汗をかいたのだろう?
カーテンを開けて窓を開放すると、湿った空気が流れ込んできた。

(外に出よう)

考えるよりも動く、というのはいつものくせであり、治す気もなかった。
もしここに銃があったならば、狙撃の練習をしているかもしれないけれどそれがないのならば仕方ない。

鞄から白いワンピースを取り出して広げる。
パジャマを脱いで手早くワンピースを着て、自分の服装を確認したところで、自分の肌に違和感を感じた。

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