優



彼の母親に朝食を振る舞われ、彼女と二、三言会話した後、私は二階へ戻った。
今日は何をしようか。町をフラフラしようか。
うん、そうしようか。さっきから視界の隅でパカパカと自己主張するケータイがうっとおしい。
見ないようにしていたいけれど、流石に開くべきか。ホームボタンを開いて、翔子からの新着メールを見ると、………
閉じる。内容は簡単に言うと、突然の帰郷に何も告げてくれなかったことへの愚痴のようなもの、連絡が欲しい、などの文章がデコメだらけで、
可愛いのかあざといのかわからん。
返信はしないつもりだ。けれど放置し過ぎると、いずれ電話がかかってくるだろうから、いつか返す(返さない)

彼の母親に許可を取り、外へ出た。空は何故か白っぽかった。そして暑かった。
近くに海があるからか、湿った空気が流れ込んでいた。
人気の少ない道路をひたすら歩いていた。
色々な場所を歩くたび、一つ一つのエピソードを思い出して、自分がその現場で本当に遊んでいるような気分になって、悪くはない、と思った。

ここは、悪くはないと思った。アリアがここを選んだのもわかる気がした。
彼女は、静寂を好むし、人気が無いところも好きだから

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