「おはよう。」
何と言ったらいいかわからずに考えて出てきた言葉が、これ。
何だ、おはようって。でもこんな言葉、アリア以外にかけたのははじめてかもしれない。
「…おはよう」
彼は呆然としていた。寝ぼけているのか、それ以外か。
「…こんなところで何してんの?」
「お前がぶつけてきたんだろ!」
「私がぶつけたんじゃなくてお前が勝手にぶつかってきたんだ。違う、そうじゃない。何でこんなところで止まってた」
「やっぱりわざとじゃねーか!朝飯食うかって、母さんが」
「あぁ…」
そういえば昨日食べてなかったな。
…申し訳ないから今日は貰うか…朝はそんなにいらないけど。
「…わかった。じゃあ食べる。」
「おう、言ってくるわ。」
そう言って、彼は素早く一階に降りる。
「…意外と足は速そうだな」
もう一回ドアを閉める。
何だか案外普通に接することが出来て驚いたけれど、安心した。
暫くショックで立ち直れないかと思っていた。
ショックを受けるっていう機能が無いのかもしれないな、なんて思いながら携帯を見ると、メールが一件。
…アリアはメールなんて自分からするタイプじゃない。
不審に思い送信元を見ると…翔子からだった。
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