涙



私は、元々ここに住んでいた。
アリアと、絵理香と、私で。
向かい側の家には、「大河君」が居た。
何故そこにアリアと絵理香が居たのか
今でもたまに話を聞くけれど、私とエルは元々孤児で、拾ったのはアリアだったらしい。
アリアはたまに私や、宰のような孤児を拾ってはどこかわからない空間で育ててきた。
ここの空間も、似たようなものなのか。
気付けば私は床に倒れていた。
急に色々思い出したせいで、身体が辛かった。
今まで絵理香のことを忘れていた。
それなのに思い出した頃には、絵理香は私とあの事故にあって、
絵理香だけが未だに昏睡状態にある。
泣きそうなのに、
凄く悲しいのにこんな時にも涙一つ出ない自分の身体が憎かった。

「ア…アリア…」

彼女は、もう電話の向こうには居ないようだった。
何度語りかけても、返事は無かった。
もしかしたら、自分の耳が悪いのかもしれなかったけれど
携帯の電波が脳に響いて痛かった。
電話を切ろうと思っても、痛くて、身体が動かなかった。
身体中の血液が逆流していそうなほど気持ち悪かった。
本当に、ここに銃があったなら、撃っていた。
なのにいくら探しても、無い。
彼女はこれを見越して私から取り上げたのか。
けれどもう聞く術も無かった。

死ぬほど辛い頭の痛みや、
思い出した過去が辛くて

私はその夜眠れなかった。

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